その後、A夫さんはお亡くなりになり、B子さんはA夫さんの預金口座の手続きや、自宅不動産の名義の変更のために、
司法書士に手続を依頼することにしました。
A夫さんとB子さんは夫婦ですが、お子さんはいらっしゃいません。
A夫さんは自分が死亡した場合、B子さんとA夫さんの兄弟が相続人に
なることを知っていました。でも、遺言書を作成しなくても、自分の兄弟達なら
遺産を妻がすべて取得することに協力してくれるだろうと考えていました。
その後、A夫さんはお亡くなりになり、B子さんはA夫さんの預金口座の手続きや
自宅不動産の名義の変更のために、司法書士に手続を依頼することにしました。
ところが戸籍を取得してみると、A夫さんより前に死亡してしまっている兄弟がいて、
その兄弟には子供が3名いることがわかりました。
また、A夫さんより後に死亡した兄弟もいて、その兄弟には妻と子供が2名いることがわかりました。
さらには、A夫さんには母親違いの兄弟が1名存在し、その母親違いの兄弟はA夫さんより前に死亡していましたが、
子供が1名いることも分かりました。
A夫さんの場合、存命中の兄弟はもちろん、今まで登場してきた兄弟の子供や
その配偶者、母親違いの兄弟の子供も相続人に含まれます。
B子さんは相続人一人一人に連絡を取って、遺産分割に協力してほしいことをお願いしましたが、
母親違いの兄弟の子供は、「いきなり、相続人だと言われても、理解できない。一切かかわりたくない。」
と言って、遺産分割協議に参加することを拒絶されてしまい、相続手続きを円滑に進めることが
できませんでした。
もし、A夫さんが生前に「妻に一切の遺産を相続させる」と記載した遺言書を残していれば、
B子さんは遺産分割協議をする必要はなく、遺言書を示すだけで、預金口座の手続きや
不動産名義の変更をすることができたのです。(兄弟姉妹には遺留分はありません)
B子さんのようなことにならないように、「遺言書作成」を考えてみてはいかがでしょうか?
2018.11.12